訪問看護を利用する手順

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訪問看護を受けるまでの具体的な流れ

介護保険制度で訪問看護を利用したい場合には、まず要介護認定を受けていることが前提となります。すでに認定を受けている場合は、担当のケアマネジャーに相談をしてみましょう。認定を受けていない場合は、市区町村の介護保険課または地域包括支援センターなどに要介護申請をおこないます。

医療保険で訪問看護を利用したい場合は、主治医またはお近くの訪問看護事業所に相談しましょう。

保険利用の場合は訪問看護指示書が必要

利用する制度に関わらず、訪問看護を利用するときは、必ず主治医からの「訪問看護指示書」が必要になります。訪問看護指示書の発行を受けるまでの手順を詳しく説明します。
訪問看護指示書とは
訪問看護を利用する場合、介護保険でも医療保険でも訪問看護指示書の交付を受ける必要があります。 これはご利用者の主治医に依頼して、訪問看護事業所あてに発行してもらいます。訪問看護指示書には有効期限があり、主治医が発行してから6ヶ月間有効です。期限以降も継続して訪問看護を利用したい場合には、訪問看護事業所側から主治医に交付を依頼します。 主治医は診察時の結果と、訪問看護事業所から提出された訪問看護計画書と訪問介護報告書をもとに、訪問看護の必要性を判断するのです。

訪問看護指示書作成の流れ

介護保険で訪問看護を利用する場合、ケアマネジャーの作成するケアプランに訪問看護が位置付けられます。通常はケアマネジャーが主治医に対して、訪問看護指示書を発行するように依頼することがほとんどです。

訪問看護指示書が訪問看護事業所に届くと、訪問看護計画書とともにケアマネジャーに提出されます。ケアマネジャーは他サービスと調整をおこないながら、ケアプランに訪問看護を組み込みます。介護保険における支給限度額の範囲内で、訪問看護の利用回数が設定されることが一般的です。

介護保険における訪問看護は、支給限度額の範囲で考えると利用回数が制限されてしまいがちです。訪問看護事業所によっては、自費での訪問看護を提供している場合もあります。より手厚い看護を希望する場合には、相談してみるとよいでしょう。

特別訪問看護指示書があれば頻回な訪問も可能

特別訪問看護指示書は、すでに訪問看護指示書が交付されているご利用者が対象となる、医療保険での書類です。病状が急激に悪化した場合や退院直後など、頻回に訪問看護によるケアが必要と主治医が認めた場合に交付されます。

特別訪問看護指示書はご利用者の主治医によって発行されますが、訪問看護指示書と同一の医師であることが求められますので注意しましょう。有効期限は、医師の診察を受けた日から14日以内となっています。原則、月に1回の交付と定められていますが、気管カニューレ使用中または真皮を超える褥そうのある方は、月2回までの交付が認められます。この場合は、医療保険での訪問看護を連日受けることが可能です。

訪問看護の相談窓口

保険制度によって若干の違いはありますが、訪問看護の利用を検討する場合は、病院のソーシャルワーカーや担当のケアマネジャーに相談するとよいでしょう。医療保険が使える場合は、主治医に相談するとその後の書類作成がスムーズな場合があります。

訪問看護と合わせて利用できるサービス

在宅で生活する上で、訪問看護と組み合わせて利用できる保険・医療・福祉サービスは数多くあります。その中でも代表的なものを紹介します。

自宅訪問型の介護サービス

自宅訪問型サービスとして代表的なものには、訪問介護や訪問入浴介護があります。

訪問介護は、自宅にホームヘルパーが訪ねてサービスをおこなうものです。ご利用者本人の食事作りや買い物、居室や寝室の掃除など生活援助をおこなったり、入浴や排せつの介助など身体介護をおこなったりします。一定の研修を受けた介護福祉士であれば、ご利用者への喀痰吸引や経管栄養が可能なため、訪問看護との組み合わせもよく見られます。

訪問入浴介護は、移動式の浴槽を持ち込んで、居室などで入浴するサービスです。浴室での入浴が難しい、寝たきりの方でも全身欲による入浴がおこなえます。通常は看護師と介護職員(オペレーターとケアエイド)の計3名で訪問し、入浴前の健康チェックから洗髪洗身、浴後のケアまで対応してくれます。

自宅訪問型の介護サービス

通いのサービスで代表的なものは、デイサービスでしょう。日中の数時間をデイサービスで過ごしていただき、入浴や昼食、レクリエーションやリハビリなどを提供するサービスです。自宅にこもりがちな高齢者の外出や他社交流の機会を確保することはもちろん、同居ご家族の介護負担軽減の目的もあり、一般的に広く利用されています。

宿泊型の介護サービスでは、ショートステイが最初に挙げられるでしょう。短期的な入所として宿泊をともなう介護サービスをおこないます。

福祉用具のレンタル・販売サービス

福祉用具のレンタル・販売のサービスも、訪問看護との併用が可能です。福祉用具のレンタルは、ベッドや手すり、車椅子など多くの品目を扱っていますので、必要なものがあれば福祉用具専門相談員に問い合わせてみましょう。

福祉用具販売は、排せつや入浴などの物品で貸与にふさわしくない身体に直接触れるものを扱っています。

その他介護保険・福祉制度外のサービス

介護保険をはじめとする福祉制度では利用基準が厳しく定められているため、サービスの種類や利用方法に制限がある場合があります。制度外のサービスは、介護認定を受けていない方でも利用ができ、比較的自由度が高いのが特徴です。

具体的な例には、介護タクシーや訪問理美容、緊急通報システムなどが挙げられます。

制度外のサービスは地域によって格差が大きいため、お住まいの地域にどのような制度があるのかは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに問い合わせてみてください。

訪問看護で在宅療養の負担を和らげ快適に

訪問看護はご利用者の尊厳を保ちつつ、健康のチェックや療養生活のためのアドバイスから、医療的ケアやメンタルケア、関連サービスとの連携などまで手厚いサポートを受けることができる介護・医療サービスです。

介護保険の要介護認定を受けてから、サービスの利用を始めるのが一般的です。ただし、ご利用者の状態の変化に合わせ、医療保険に切り替えたり訪問回数を増やしたり、比較的柔軟な対応ができるのが訪問看護の特徴でもあります。

訪問看護はルールが複雑です。主治医やケアマネジャー、看護師などに相談することで上手に活用できます。ご利用者だけでなくご家族も含めて在宅療養の負担を和らげ、快適な療養生活を送りましょう。